スリップ事故と道路管理者の過失

交通事故オンライン損害賠償編

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伊佐行政書士事務所

路面が凍結していたために自動車がスリップし、事故となる場合があります。 道路に通常備えるべき安全性が確保されていなかった場合は、道路管理者に対して損害賠償請求をすることもできますが、どのような場合が通常備えるべき安全性がなかったといえるのでしょうか。

道路管理の瑕疵が認められた例

道路管理者の責任が認められる場合は、加害者との共同不法行為となることが多いと思われます。

【事例1】当日の気象条件、本件道路が山間部にあること、とりわけ高架部分の路面は凍結し易いことから、これを予見して本件事故前に凍結防止策を講じることは十分可能であったのにこれを怠ったとして、 管理者の責任を認めるとともに、スリップして停車中の車に衝突した運転者にも責任を認めた。

【事例2】雪はやんでいたが高速道路の高架橋で路面凍結のため玉突き衝突が発生した。凍結防止策や速度制限などの安全確保策が何らとられておらず、管理者の瑕疵を認めた。

道路管理の瑕疵が認められなかった例

【事例1】トンネル内の除雪作業がされ、県が冬期に設置する路面凍結の警告板によって運転者の注意が促されている状況にあることから、本件トンネル内の危険な状況は原告において認識しうるもので、 これに対する適切な運転操作によって危険防止が可能であったというべきであるから、道路管理者を無責とした。

【事例2】路面凍結していた橋梁部で、大型トレーラーがスリップして発生した事故につき、本件橋上の道路は、橋梁部であるという特質を考慮しつつ通常要求される通行上の注意を払いさえすれば、 危険発生のおそれはなかったというべきであると、道路管理者を無責とした。

道路の段差で転倒しました。治療費などは請求できますか?

夜間、自転車で走行中、道路工事現場の横を通りかかった(作業中ではありませんでした)のですが、アスファルトの一部が切り取られていて、段差ができており、 その為にハンドルを取られ転倒し、入院する怪我を負いました。こういった場合も慰謝料や治療費を請求できるのでしょうか。

走行位置や道路の明るさ、自転車に無灯火がある場合など、様々な事情により過失相殺される可能性が高いですが、 工事現場の柵などの外側に危険な段差などができていたということであれば、道路管理者に損害賠償請求できる可能性も高いと思います。 当事務所でもこうしたケースで現場調査図面などを作成し、被害者の方が管理者から賠償金を受け取られたというケースの経験は何度かございます。