被害者本人の交通費
実費が認められますが、相当性のないもの(軽傷でバス利用が可能なのにタクシーを利用した場合のタクシー代など)は否定されるでしょう。 交通費は原則として電車やバス代、自家用車の場合は実費相当額となります。自家用車のガソリン代は実務では1kmあたり通常15円で計算します。 高速道路料金や駐車場代が認められる場合もあります。
病院までの距離や他の公共交通機関の利便性なども関係してきますが、大腿骨骨折などで歩行することに大きな支障がある場合は、 特に問題なくタクシーによる交通費は認められているようです。 また、高齢の女性が腕を骨折した場合に、公共交通機関(バス)はあるものの、自転車にも乗れず、バス停まで歩いて30分程度かかること、 高齢のため長距離の歩行は困難なことなどから、当初否定されたタクシー代が認められた例があります。
会社近くの病院への通院交通費
病院が会社の近隣にあり、自宅からの交通費が定期券でまかなえるような場合は、交通費は損害としては発生しておりませんので、請求はできません。 車通勤だった方が、怪我のために運転できず、電車やタクシーで通勤と通院をした場合には、普段の交通費との差額を請求できます。
付添人の交通費
看護のために必要な近親者の交通費は、本人の損害として認められます。ただし必要以上のものまでは認められません。 例えば、子供の通院付添いに父親が車を運転して、母親も付き添いで病院に行ったとしても、合理的な理由がなければ二人分の付添い費は認められません。
一口に付添い人といっても、未就学児に付き添う母親、生命の危機のある身内に付き添う者など、様々な事情があります。 保険会社はそれらの事情につき個別に判断し、支払うか支払わないかを判断しているようです。 事例としては、2歳児の母親が事故で入通院した場合に、隣県の祖母が2歳児の世話と家事の手伝いに来た交通費について、 当初保険会社は否定していたが、適切な請求資料を提出することによって支払いが認められたケースがあります。
通勤や通学の交通費
普段バイク通勤をしていたが、骨折の為にバイクに乗れなくなったなどの場合は、代替手段に要した交通費を請求できます。徒歩、バス、電車で通勤可能であれば その費用が認められることとなるでしょうが、公共交通機関の利用が困難な場合は、タクシー通勤の費用も認められる場合があります。
普段は電車で通勤していたが、足を骨折し松葉杖を使っているため、満員電車に乗ることができないのでタクシーを利用せざるを得なかったという場合は、 タクシー代が認められる場合があります。これも保険会社は個別に事情を検討して、支払いの可否を決めているようです。 初めから問題なく支払ってくれるケースもあります。 タクシーであれば一人で通学できるが、公共交通機関を利用する場合は、誰かに付き添ってもらわなければ難しいという状況の足を骨折した大学生のケースで、 当初保険会社はタクシー代を否定していましたが、当事務所でお作りした資料により、支払いが認められたケースがあります。