※ここでは一般的な考え方をご説明しておりますが、ケースによっては異なる判断がされる可能性もございます。最終的には税務署等で確認されることをお勧めいたします。
税金がかからない場合
損害賠償金を受け取ることは、単に損害の穴埋めに過ぎず、利得を受けたわけではないことから所得税などは課税されません。
被害者が慰謝料を受取ったとき
被害者が受け取った傷害慰謝料や後遺障害慰謝料には、所得税は課税されません。
(所得税法第9条第1項16『第九条 次に掲げる所得については、所得税を課さない。 十六 損害保険契約に基づき支払を受ける保険金及び損害賠償金(これらに類するものを含む。)で、 心身に加えられた損害又は突発的な事故により資産に加えられた損害に基因して取得するものその他の政令で定めるもの 』)
※被害者が慰謝料を受取ってから死亡した場合は、他の一般財産と同様に相続財産となりますので、相続人には相続税が課税される場合があります。
被害者遺族が死亡慰謝料を受け取ったとき
被害者が死亡したことに対して支払われる慰謝料や逸失利益などの損害賠償金は相続税や所得税の対象とはされていません。
被害者遺族が固有の慰謝料を受取ったとき
死亡事故の遺族固有の慰謝料は、遺族の損害ですので相続税は無関係です。所得税も課税されません。 被害者の後遺障害に対して近親者固有の慰謝料が認められるケースがありますが、この場合も所得税は課税されません。
加害者から受け取った見舞い金
傷病の程度等などから社会通念上ふさわしい金額については非課税とされています。例えば何カ月も入院するような重傷事故で見舞い金を10万円 渡されても非課税とされる可能性が高いと思われますが、ごく軽い打撲で数百万円もの見舞い金を受け取った場合は、課税される可能性が高いと思われます。
税金がかかる可能性がある場合
搭乗者傷害保険金や自損事故保険金などを受取ったとき
被保険者が怪我をして受け取った保険金については所得税は非課税ですが、死亡保険金については、 保険加入者、受取人などにより異なりますが、相続税、所得税、贈与税などの課税対象になり得ます。
人身傷害補償保険金を受取ったとき
人身傷害補償保険は、損害賠償金とされる部分と、そうでない部分とに分かれる場合があります。 被保険者が怪我をして受け取った保険金については所得税は非課税ですが、死亡保険金については、 保険加入者、受取人、過失の有無などにより異なりますが、相続税、所得税、贈与税などの課税対象になり得ます。
事業用資産に対する損害賠償金
事故で商品が破損した場合など、必要経費に算入される金額の補てん分については、事業所得の収入金額として申告します。
損害賠償金と税金の控除
- ▼ 事例・判例
- □ 逸失利益の計算において、基礎収入は税金分を控除した金額とするべきという加害者側の主張を退け、課税は立法政策で加害者には関係のないこと、 被害者の収入額を回復させることが損害賠償法の理念であることから、収入額から税金を控除しないとした事例。