共同不法行為と慰謝料

交通事故オンライン損害賠償編

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伊佐行政書士事務所

共同不法行為の場合の自賠責保険の慰謝料

A車とB車の事故で、双方に過失が認められる場合に、どちらかの車に乗っていた同乗者が負傷した場合は、 双方の自賠責保険が使える場合があります。例えば、A車の過失が8割、B車の過失が2割である場合に、 B車に同乗していた人は、二台分の自賠責保険が使えるため、支払いを受けられる自賠責保険の保険金額の上限が2倍になります。 傷害については120万円の2倍の240万円、14級の後遺障害が残った場合は、75万円の2倍の150万円までが 支払いの対象になるのです。

他の損害額との兼ね合いもありますので一概にはいえませんが、支払われる慰謝料の上限も大きく上がります。自賠責保険の慰謝料は入通院日数に比例しているために、 ケースによっては弁護士基準で計算した金額よりも、慰謝料の金額が多くなる場合も出てくるでしょう。 後遺障害による損害も、自賠責保険を受け取るだけで妥当といえるケースも多くなります。 妥当といえる場合は、自賠責保険以外に、任意保険会社に請求する余地は無いということになります。

よく誤解されることですが、支払いを受けられる上限の金額が二倍になるだけであって、通常のケースよりも、慰謝料が二倍で計算されるということではありません。 上限が120万円から240万円になっても、損害額が100万円しかなければ、どちらにしろ、受け取れる金額は100万円のみです。

共同不法行為の場合の任意保険(対人賠償)の慰謝料

自賠責保険ではなく、任意保険請求の場合は、もともと対人賠償保険の保険金額が高い(1億円とか無制限とか)のが普通ですので、上限額が増えてもあまり意味はないと思います。 誤解して質問される方が多いですが、同乗者に生じた損害について、双方の保険から全額を払ってもらえる(2倍になる)ということはありません。 二人の加害者に迷惑をかけられたのだから、慰謝料も二倍払ってもらう、ということはできません。あくまでも発生した損害額のみの請求しかできないのです。 ただし、搭乗者保険などは賠償請求とは別に支払われることとなります。

  • ▼ 事例・判例
  • □ 信号のない交差点での出会い頭衝突事故で、タクシーの過失が4割、相手車の過失が6割の場合に、タクシー乗客がむち打ち症で第14級となり、 双方の自賠責保険より75万円ずつ合計150万円が支払われた事例。