加害者本人への請求
加害者が任意保険に入っていなかった場合は、自賠責保険で不足する分については、加害者に直接請求する必要があります。そんな時は、どのような手順をふめばいいのでしょうか。
決まりはありませんが、一例をあげておきます。
請求内容を書面にまとめる
まずは被害者の方で損害額の明細書を作り、それを加害者に提示するといいでしょう。法外な請求をしては話はまとまりませんので、法的に妥当な金額を記載しましょう。 感情的な接し方は、あるときは効果的ですが、『あなたのほうでも詳しい人に聞くなどして内容を検討し、お返事ください』というような、感情を抑えた姿勢も必要です。よく『自分は被害者なのに 何故そんな計算をしなければいけないのだ。加害者が計算してもって来るべきだ』という方がいらっしゃいますが、加害者にその様な能力があればいいですが、通常それは期待できません。 損害を立証するのは被害者の役目でもありますので、自ら知識をつけて、請求していったほうがいいでしょう。
会って話す場合は感情を抑えて
直接会って話をする場合は、話があまり脱線しないように気をつけましょう。感情的な対立があるのもやむを得ない場合もありましょうが、それと損害賠償請求の話は切り離して考えるべきです。 明確な理由もなく『あなたが加害者で全部悪いのだから、とにかく払ってください』などと繰り返しても、時間が無駄に過ぎていくだけです。上手に話をする自信がないときは、請求内容を文書にまとめるといいでしょう。 請求内容をまとめ、2~3週間後に回答期限を設けます。場合によっては回答がなければ法的手段に訴えると記載します。普通の郵便でもいいですが、配達記録か簡易書留にはしたほうがいいと思います。 内容証明は、紛争化することが濃厚な場合は、利用したほうがいいでしょう。
内容について加害者と合意ができない場合は、資料を作って根拠を明確にするなどして、何度か交渉を試みましょう。 加害者に資力がある場合は、理論的な説得方法は効果があるはずです。
合意ができたら示談書を作る
合意ができたら、示談書を作成します。示談書は二通つくり、双方が一通づつ保管します。署名の上、実印を押し、相互に印鑑証明書を交換した方が安心ではありますが、 単なる署名捺印でも有効です。示談書の取り交わしと同時に現金の受け渡しをしてもいいですし、示談書を取り交わしてから振込みをしてもらう方法などもあります。後で振り込んでもらう場合は、 示談書に振込口座と振り込み期限なども記載しておきましょう。
当事者間で合意ができないときは、調停や訴訟を利用する方法があります。注意すべきなのは、加害者に資力があるかどうかということです。たとえ裁判に勝ったとしても、国がお金を支払ってくれるわけではなく、 相手方に強制執行などの手段をとることが可能になってくるだけです。相手が失業中で不動産も持っていないなどの場合は、判決をもらっても意味がないことになりかねません。加害者に 資力がない場合は、泣き寝入りするしかない場合もありえますが、加害車運転者以外の車の保有者や家族、使用者などに損害賠償請求できる場合もありますので、その点も確認しておきましょう。