ハイドロプレーニング現象とは
水の溜まった路面を高速で走行すると、路面とタイヤの間の水が潤滑剤の働きをして、タイヤが路面との接触を失う場合があります。これをハイドロプレーニング現象といいます。
ハイドロプレーニング現象が起こると、ハンドルが効かなくなり、自動車の制御が困難になります。主に高速道路で発生する現象です。
運転者の責任
ハイドロプレーニング現象が起きたことが原因で自動車の制御ができなくなり事故に発展した場合は、運転者は責任を負うのでしょうか。 それとも不可抗力ということで免責される余地はあるのでしょうか。
過失を認めた例
当時路面が雨で濡れていたにもかかわらず、制限速度を4
0km以上超過する時速約120ないし130kmの高速で被告車両を走行させたた
め、路面上をスリップした後、ハイドロプレーニング現象を起こして制御不能となっ
て、路側壁に接触して停止し、その直後に後続の本件車両が被告車両に衝突したもの
と認められる。被告は、ハイドロプレーニング現象の発生は不可抗力であるから、被告には過失が
ない旨主張する。しかしながら、前記認定の本件事故直前の走行状況に照らせば、同
現象は被告が自ら招いたものと認められるから、被告の前記主張は採用できない、とした。
過失を否定した例
大型バスの転覆事故につき、ハイドロプレーニング下の事故であって一般に予見可能性はなかったとして、過失が否定された。
歩行者の蒸発現象(グレア現象)とは
夜間対向車とすれ違うときに、前照灯の眩しさによって一時的に道路中央付近の人などが見えなくなる現象をいいます。 蒸発現象によって事故が発生した場合の運転者の責任も、ハイドロプレーニング現象の場合と同様に、個別の状況に照らし予見可能性の有無等を検討し、 過失の有無が認定されるものと考えられます。